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RFIDの電波出力と通信距離

RFIDの電波出力

RFIDシステムでは、電波を利用してRFIDタグの情報を読み書きします。この電波の強さを「電波出力」と呼び、ミリワット(mW)またはdBmという単位で表されます。dBmは、1mWを基準とした対数表現で、電波の強さを相対的に表すのに便利です。

電波出力は、RFIDシステムの通信距離に大きく影響します。出力が高いほど、電波は遠くまで届き、通信距離は伸びます。しかし、電波出力は法律で規制されています。日本では、電波法によって、RFIDで使用できる電波出力は用途に応じて制限されています。

RFIDは、大きく分けてパッシブタグとアクティブタグの2種類があります。パッシブタグは、リーダーから送られてくる電波を電力源として動作するため、電波出力が低く、通信距離も短くなります。一方、アクティブタグは、内蔵電池で動作するため、電波出力が大きく、通信距離も長くなります。

RFIDの通信距離

RFIDの通信距離は、電波出力だけでなく、様々な要素に影響されます。

周波数帯

RFIDで使用する電波の周波数帯は、LF帯、HF帯、UHF帯、マイクロ波帯など、いくつか種類があります。周波数帯によって、電波の特性が異なり、通信距離も変わります。一般的に、周波数が高いほど直進性が強くなり、障害物に弱くなりますが、通信速度は速くなります。

アンテナ

リーダーとタグのアンテナの形状やサイズも、通信距離に影響します。アンテナが大きいほど、電波を送受信する能力が高くなり、通信距離は伸びます。

タグの種類

タグの種類によって、感度や指向性が異なります。感度が高いタグほど、弱い電波でも読み取ることができ、通信距離を伸ばすことができます。指向性とは、電波を送受信する方向のことで、指向性が強いタグは、特定の方向に電波を集中させることができます。

環境

周囲の環境も、通信距離に影響します。金属や水などの電波を吸収する物質があると、通信距離は短くなります。また、電波干渉も通信距離に影響します。

これらの要素が複雑に絡み合って、RFIDの通信距離が決まります。

電波出力と通信距離の関係

基本的には、電波出力と通信距離は比例関係にあります。電波出力が高いほど、通信距離は伸びますが、同時に消費電力も増加し、コストも高くなります。そのため、用途に応じて適切な電波出力と通信距離のバランスを考える必要があります。

例えば、図書館の蔵書管理のように、近距離で読み取りができればよい場合は、電波出力が低いパッシブタグで十分です。一方、高速道路のETCのように、長距離で高速に読み取る必要がある場合は、電波出力が高いアクティブタグが適しています。

周波数帯による違い

RFIDで使用する主な周波数帯と、それぞれの特性をまとめると以下のようになります。

周波数帯特徴通信距離
LF帯 (125kHz – 134kHz)低周波数で、電波が障害物を回り込みやすい数cm – 1m
HF帯 (13.56MHz)中周波数で、通信速度が速い数cm – 1m
UHF帯 (860MHz – 960MHz)高周波数で、通信距離が長い数m – 10m
マイクロ波帯 (2.45GHz, 5.8GHz)非常に高い周波数で、通信速度が速い数十cm – 数m

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